神の国は、どのようなものと言えばよいでしょう。何にたとえたらよいでしょう。

それはからし種のようなものです。地に蒔かれるときには、地に蒔かれる種の中で、一番小さいのですが、それが蒔かれると、成長してどんな野菜よりも大きくなり、大きな枝を張り、その陰に空の鳥が巣を作れるほどになります。(新約聖書マルコ4:32)

東北にエールを!東北から愛と希望を!

 

東日本大震災から5年が経過しました。被災された方々にとって、長かったようにも、あっという間だったようにも感じられる年月でしょう。この間、子どもたちは成長し、年配の方々は歳を重ねてこられ、また仮設を出て、新居や災害公営住宅のほうへ移られる方々も増えています。しかし仮設を訪ね、皆さんのお話を伺いますと、震災当時のことを昨日のことのようにあまりにもはっきり語られ5年の歳月が過ぎたとは思えない感じがいたします。時が止まっている、というか、当時の恐怖や悲しみは深く心に突き刺さったままで、心の復興はまだまだ途上にあることを感じさせられています。むしろ、仮設に居残る方々も、新居や公営住宅などに移られた方も、孤立の問題が深刻となっていて、心の支援は、今こそ必要とされているといえるでしょう。

 

 私たちが目指し取り組んでいるのは、助かった命が大切にされ、お一人ひとりの存在が尊ばれることです。そして震災後、「絆」や「幸福度」という言葉が取り上げられてきたように、繋がり合い支え合うことで得られる「仕合せ(しあわせ)」が、被災地から日本社会全体に拡がっていくことです。震災で亡くなられた大変多くの犠牲者の方々よりも、毎年、絶望と孤独の中で自ら命を絶たれる方々の方がずっと多い、という現代の日本の異常事態を変えていけるように取り組み、また原子力発電所や米軍基地の立地がなければ、立ち行かないような過疎地域の問題に向き合い、そこで暮らす人々の危険と犠牲が取り除かれ、人権が守られることにも繋げていきたいと考えています。

                                                                                          

 心の支援の目標は、被災された方々のショックや悲しみを少しでも和らげ、お一人ひとりが悲しみや苦難をも自分の人生の大切な一部として抱きしめ、受け入れることができるようになることです。愛するご家族、大切なご友人を喪われた方々の深い悲しみは、生涯癒えることはないでしょうし、悼むこと悲しむことこそが故人を尊ぶことでもあるでしょう。ですから私たちは、悲しみを取り去ろうとするのではなく、温かく安らげる時間を共に過ごし、丁寧な関わりを重ねる中で、皆さんの心が少しでも和らぎ、お一人ひとりが悲しみや辛い経験をも自分の人生の大切な一部として受け入れることができるようにお支えしていく働きを続けさせていただいております。
 今後とも充実した活動を重ねていけますように、お祈りとご支援をよろしくお願いいたします。

                                                     2016年3月

震災から四年が経ちました。現地では、徐々に災害公営住宅への移転や、仮設住宅の集約の動きが始まってきています。ある大きな仮設の会長さんは、仮設を出られる方が増える中で、これまでのようには互いの安否確認ができなくなることや、移転した先での孤立などコミュニティ形成のことを懸念しておられました。最近はめっきりボランティアの訪問も減ってしまっていますが、心の支援は、今こそ求められていると感じています。福島の原発事故により、故郷を離れて避難生活を送っておられる方々をはじめ、国内には、困難な生活を強いられている方々が大勢おられることを忘れてはなりません。私たちの関わらせていただいている方たちの中にも、津波でお子さん方を亡くされた方や、ご家族がいまだ見つからないという方々がおられ、もう4年経つのだからなどと決して言うことのできない状況があります。建物や道路は建て直されても、心の復興には、多くの時間と丁寧な関わりが必要であることを知らされています。

 からし種コミュニティサポートでは、助かった一人ひとりの命が大切に支えられていくことを通して、東北と日本の社会全体が愛と希望で満ちたものとなっていくようにと願い、被災された方々の心のサポートに取り組んでいます。支援する側される側という一方向ではなく、互いに支え合い励まし合い、共に生きるという双方向の繋がりを築けるようにと取り組んでおります。県外(あるいは海外)の皆様の訪問に関しても、お手伝いさせていただいておりますので、ご関心のある方は、お気軽にお問合せください。

今後とも活動の継続と充実のために、応援とご協力をよろしくお願いいたします。

              2015年4月 

 

震災から三年のときが経ちました。

 現地では瓦礫が片づけられ、少しずつ復興に向かっておりますが、まだまだ深い悲しみや大きな喪失から立ち上れず、前に進んで行くことができない方々もおられます。福島の方々をはじめ、自分たちの故郷やコミュニティを失った方々は、いつになったら戻れるのか、町が再生されるのか、先行きが見えず不安の中で日々を過ごしておられます。

 南三陸町や石巻では復興公営住宅などに移られるという方も少しずつ現れてきていますが、大半の方々は移転の目途の着かない中で生活しておられます。仕事がないため、他の市や県外に移られる方も多く、若い世代を中心に人口の流出が続いています。津波によって過疎化にいっそうの拍車がかかり、以前から抱えていた地域の課題(日本の近代化における課題)が大きくされているのを目の当たりにし、真の復興・再生とは何であろうかと考えさせられています。

 そうした中、津波によって失ったものばかりではないことも教えられています。

日本の社会が見失いがちであった人々の「繋がり」や「協助力」というものを被災地において発見し、新しい日本社会の在り方を教えられているのです。

 現地では、三年経ったこれからがより大変になるだろうと言われています。新居に移られる方と残される方との差が顕在化し、個人においても地域においても妬みや取り残された感を覚えやすくなるからです。生活環境が大きく変化していくこれからの時期、私たちは落ち着いて平和の心で関わり、皆が労り合い感謝の心をもって生きることができるように歩みを支えていきたいと様々な活動に取り組んでいます。 

 2011年からボランティアとして幾度も被災地を訪れてきましたが、それは大変な人々を支えよう、という気持ちもさることながら、皆さんの悲しみを抱えながらも、互いに支え合い励まし合って歩んでおられる姿を見させていただいてきたからです。

この人生の宝ともいうべき「命を尊び支え合う心」が、東北から発信されていきますことを祈り願っています。        2014年3月

台風15号、19号の被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。

2019.10.13

大阪北部地震でご家族を亡くされた方、被害に遭われた方のためにお祈りしています。2018.6.18

熊本の大地震で被災された方々のうえに、速やかな助けと支えが届けられますようにお祈りします。  2016.4.16